電気窯の電気について。
このページは、電気窯(陶芸窯・ガラス工芸窯)の電気に関する事項を説明しています。
- 日本の電圧は100Vと200Vがございます。
- 100Vは家屋内の配線に主に使用されています。
- ただし、標準の電流値は15Aまでですので消費電力の限界は1,500Wです。
- 多くの電気製品は、この1500Wを限界として製造されています。
- オーブントースター、電子レンジなどの消費電力の多い製品は、この数値ギリギリに設定されていることを製品の仕様を見ると確認できます。
- ただ、この1,500Wというパワーは電気窯、特に陶芸窯にとってはとても小さいものです。
- そこで1300度まで温度をあげる場合は時間をかけて熱を溜めて昇温する方法しかありません。
- 実際は1260℃までの100V電気窯(陶芸窯)が多いようです。1300℃まで40℃の差と僅かだと思われるでしょうが、200V窯でも1260℃から1300℃まではとても時間とパワーを必要としますので、100Vで15Aの窯では能力的に厳しいと思います。
- また、蓄熱のために効率の良いセラミックウールを採用しているケースも見受けられますが、レンガに比べるとウールが経年変化でやせて劣化しやすいため、最高温度まで上がらなくなります。
- 現在の家屋配線には単相3線式と言われる配線が採用されています。3本の電線の真ん中の中性線と上か下の電圧線の組み合わせで100ボルト、中性線以外の上と下の電圧線を組み合わせて200ボルトを利用することができますので、配線断面が問題なければ比較的簡単に200Vに変更できます。
- エルエルキルンではドールテスト窯という100V窯を販売していますが、この窯は2プラグを使用して2,000Wを超えるパワーを出し、1,300℃の高温焼成が可能です。炉壁はセラミックウールではなくレンガを採用しています。
トランスの追加は必要ありません
- エルエルキルンの小型電気窯(100V電気窯)にトランスを別途購入して取り付ける必要はありませんので経済的です。理由は2プラグのため、最初から十分なパワーを有しています。(21.6A – 100V – 2,160W)
- 他社製でトランスを別途追加する目的は、屋内配線が15Aギリギリの配線断面となっているため、100V15Aの電気窯(特に陶芸目的の陶芸窯)は電圧降下が起きやすく、それを補う目的です。
- 本来、電源ケーブルと配線の断面積は約2ランク以上の配線をするべきですが、それを屋内の既存の壁のコンセントから電気供給するためにこの電圧降下の問題が起こります。
- もちろん、屋内配線をやり直せばいいのですが、それでは工事費もいらないと思って購入した100V窯の意味がなくなります。
- トランスを追加すると、費用も上がりますし、回路が複雑化しメンテ上も手間が増えます。
- また、トランスで電圧を上げる場合は細かい電圧調整はできず、115V,125V程度になると思われます。
- そうなると、電流値まで変化する可能性があり、本来の電熱線の設計と異なる仕様になるため電気窯に対しても問題が出てくる可能性があります。
- 電圧降下については下記に詳しく掲載されています。
- 100Vには単相のみ、200Vには単相と三相の選択ができます。
- 三相は単相に比べて電気料金単価が安い代わりに一律の基本料金を徴収する電力会社もあります。
- 基本料金がない電力会社の三相の場合は、短期間使用すると単価が高くなるように設定されています。
- いずれにしても、三相は商業用のように多くの焼成回数をこなせばお安い電気料金で焼成できるメリットがありますが、たまにしか焼成しない場合は単相がおすすめです。
- 電気窯に電気を通すためにには、電力会社に申請し工事をしてもらうことが必要となります。
- もちろん、すでに電気窯の電力に見合った配線等がすでに備わっている家屋の場合は工事の必要はありませんが、電力会社への申請は必要になります。
- 家屋外壁のメーターまでは、電力会社の費用負担で工事を行うことができます。
- 外壁のメーターから屋内配線、ブレーカーの設置はお客様のご費用負担となります。
- そして、これらの二つの工事は資格を持った電気工事店様に依頼することになります。
- 電気工事店様は、申請書を作成して最寄りの電力会社に工事の申請を行います。
- 電気工事店様には、電圧、電流値、消費電力をお伝えいただくか、電気窯(陶芸窯など)のマニュアルの仕様書をコピーしてお渡しください。
- 下記もご参考ください。
- 電気配線の大きさ(断面積)はとても重要です。
- 断面積は㎟(平方ミリメーター)で表されます。
- 英語で平方ミリメーターをスクエアミリメーターと呼ぶため、日本では略して例えば8スケ(8㎟)などと呼びます。電気工事店様はこのように配線断面を◯◯スケと呼びます。
- 陶芸を目的とした高温度使用の電気窯の場合は、電圧降下を避けるため、十分な現状検証と、電圧降下計算、電力会社との協議が必要になります。
- 陶芸用電気窯は、高温域を何時間も連続して保持し続ける場合が多いため、電圧降下が起きる可能性が高くあります。
- 配線メーカーの仕様書に記載された最大電流値は、配線が焼損などの安全上問題無いと思われる最大電流値ですので、電気窯の規格電流値がその電流値に収まっているからといって電圧降下しないとは言えません。
- 一般的に電気窯の規格電流値を満足する配線断面の2ランク以上の断面の配線を設置する場合が多いようです。しかし、あくまでも十分な計算が必要になりますので、できれば、電熱機器(電気窯)の電気工事経験のある工事店様にご依頼されることをお勧めいたします。
- 電圧降下が起きると、電熱線の交換頻度が高くなり不経済であり、昇温の遅れにより、エラー1が表示され、焼成を電気窯のコントローラーが停止する事態におちいります。
- ブレーカーは窯の電流値の1.25倍をご使用ください。
- 漏電ブレーカーは電気窯の場合は必要ありません。どうしても必要な場合は200mA以上のものをご使用ください。小さなmAの漏電ブーレーカーはブレーカーが落ちやすくなります。
- D種設置工事(アース工事)が義務付けられていますので、施工をお願いいたします。
- 金属製外箱を有する使用電圧が60〔V〕を超える低圧の機械器具に接続する場合には、漏電遮断器を設けなければなりません。しかしD種設置工事の設置抵抗値が3オーム以下の場合は省略できます。
- 電気窯の熱は電熱線に電気を流し、電熱線の抵抗により発熱します。
- 電熱線の抵抗値を計測することにより、電熱線の劣化とか切れを推測することができます。
- 測定はテスターで行い、ブレーカーをOFFにして計測してください。
- 電熱線が劣化すると抵抗値が高くなりますのでテスターで判断できます。
- テスターは小数点以下も測定可能な商品をお買い求めください。0.9と0.1ではかなりの開きがあるからです。